- 2025.01.22
1.労働条件の明示
会社は、従業員と労働契約を結ぶときには、業務の内容や労働時間、給与額やその支払い時期などの労働条件を書面などで明示しなければなりません。労働条件の明示は、労働基準法第15条により、使用者に義務づけられています。
(1) 法律で義務付けられている明示事項
<<必ず明示が必要な事項>>
①労働契約の期間
②就業場所(雇入れ直後の配置場所、変更の範囲)
③職務内容(雇入れ直後の業務内容、変更の範囲)
④給与の決定、計算・支払の方法、締切、支払の時期について
※月給か時給か、通勤手当や各種手当はどのような計算方法で決まるのか等
⑤始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇
⑥所定労働時間を超える労働の有無
⑦退職の事由と手続きについて
※退職年齢、従業員が自ら退職する場合の手続き、解雇の理由及び手続き等
⑧有期労働契約の場合
a 更新の有無
b 更新の判断基準
c 更新上限(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)の有無とその内容
d 労働者が契約期間内に労働契約法第18条第1項の規定に従って無期労働契約の転換を申請することができる場合、無期労働契約転換の申請に関する事項及び無期労働に転換した後の労働条件
<<労使の取り決めがある場合、明示が必要な事項>>
①退職金の決定、計算・支払の方法、締切、支払の時期などについて
②賞与や臨時に支払う賃金などについて
③労働者負担とする作業用品や食事代などについて
④安全衛生について
⑤職業訓練について
⑥災害補償や業務外の疾病の補助などについて
⑦表彰と制裁について
⑧休職について
<<パート、アルバイトには必ず明示しなければならない事項>>
①昇給の有無
②退職手当の有無
③賞与の有無
④相談窓口
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040330-4.pdf
(2) 通知の方法
書面を交付することが原則ですが、従業員が希望した場合には、電子メールやSNSのメッセージ機能で通知することもできます。ただし、出力して書面を作成できるものに限られます。メール・SNSで明示する場合には、印刷や保存がしやすいよう添付ファイルで送りましょう。
2.法定の社会保険・雇用保険への加入手続き
従業員が、社会保険や雇用保険の各制度に加入する条件を満たしていた場合、会社は加入手続きを取る必要があります。
社会保険制度については、Q2で解説します。
3.雇入れ時健康診断、雇入れ時教育の実施
(1) 雇入れ時健康診断
労働安全衛生規則第 43 条で、労働者を雇い入れた際に、健康診断を行うことが義務づけられています。健康診断の項目についても定められています。
雇入れ時健康診断は、採用内定直後から入社後数日以内までの間に行ってください。
(2) 雇入れ時教育
労働安全衛生法では、雇用形態や国籍にかかわらず、すべての労働者について、雇⼊れ時や作業内容の変更時に安全衛⽣教育を⾏うよう、事業者に義務を課しています。
雇入れ時教育の内容は以下のとおりです。
1.機械等、原材料等の危険性⼜は有害性及びこれらの取り扱い方法に関すること
2.安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取り扱い方法に関すること
3.作業手順に関すること
4.作業開始時の点検に関すること
5.当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及びその予防に関すること
6.整理、整頓及び清潔の保持に関すること。
7.事故時等における応急措置及び退避に関すること
8.前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項
労働安全衛生法では、上記の雇入れ時教育のほか、危険有害業務に対する特別教育や特定業務の職長等に対する教育が義務付けられています。
厚生労働省「職場のあんぜんサイト」では、日本語の安全衛生教育教材のほか、外国語版(13か国語)も掲載しています。
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/